TNR(Trap-Neuter-Return)とは? かぎしっぽでの活動を紹介します!

野良猫は夏の猛暑で熱中症になり、冬は過酷な寒さを経験します。食べるものに寄生虫がいたとしても、十分なごはんがない中ではそれを食べて苦しむことになり、地域で病気が発生すると餌場やトイレなどの接点で瞬く間に蔓延してしまいます。

大人猫でもつらい野良の世界。寒い時期に生まれた子猫は、生まれてもほとんどは育ちません。それでも、お外で暮らすママ猫は、自分の身を削って大切に守り抜いて出産します。そんな辛い思いをしないママが1匹でもいなくなるように行っているのがTNRです。

TNR(Trap-Neuter-Return)は、捕獲し(Trap)、避妊・去勢手術し(Neuter)、元の場所に戻す(Return)という活動の略称です。野良猫の避妊手術を行うことで、これ以上つらい暮らしをする猫が増えないようにし、地域猫として終生を過ごせるようにする活動です。

西宮市では地域猫が認められています。地域猫とは特定の飼い主がいない地域住民で協力してお世話をしている猫です。桜カットの耳をした猫を見たことはありますか?桜カットの耳は避妊去勢手術をした猫という目印です。かぎしっぽでは人と地域猫がより良い関係で暮らせるようにTNR活動を行っています。

かぎしっぽの大切なこの活動がどのように進められるのか、一緒に見ていきましょう!



1. TNR依頼を受ける

地域の住民やボランティアからの依頼を受けると、TNR活動がスタートします。依頼内容をしっかりとヒアリングし、次のステップに進む準備を整えます。


2. 現地を下見する

現地に行って猫たちの状況を確認します。

どの時間帯に猫たちが現れるか、どこに集まるか、捕獲器を設置することができるかを見極める大事なステップです。当団体の代表は長年の経験で、より効果的な設置場所の見極めを行っています。

現地に行くまでの往復交通費が必要になることもあります。


3. 捕獲器を設置する

捕獲器を設置する場所を決め、必要であれば周囲の民家にお住まいの住民や、建物の大家さんからの許可を得ます。
捕獲器は団体所有のものもありますし、周辺団体や公的機関から捕獲器を借りることもあります。猫たちが出やすい場所を選ぶのがポイントです。


4. 猫を捕獲する

捕獲器に猫が入るまで、粘り強く待ちます。もし猫が入っていなければ、設置場所を変えるか、猫の痕跡を探します。

捕獲器設置から捕獲まで1週間以上かかることもあり、場合によっては車中泊で粘ることもある、根気のいる作業です。依頼主の方や周囲の方に協力を依頼することもあります。

アライグマなど気性の荒い動物が捕獲器に入ってしまった場合、捕獲器が壊れてしまうことがあります
予期しない動物が入ることもありますので、その都度対応が必要です。


5. 病院で手術

捕獲した猫は病院で避妊去勢手術を受けます。

避妊去勢手術には条件によっては自治体から助成があることもありますが、手術以外にも怪我・熱中症への処置など追加の治療費がかかります
熱中症の子には補水をしたり、怪我をした子には抗生剤、下痢の子には下痢止めなど必要な処置は様々です。

妊娠している母猫は、避妊去勢手術とともに堕胎手術も行います。代表自身も出産経験があるため、母猫の思いに寄り添ってしまい、妊婦猫を捕獲すると毎回とてもつらい思いをしています。
きっと堕胎手術をする獣医師の先生も、生まれる前の赤ちゃんに堕胎処置をするのは辛いことでしょう。
こういった母猫も、先生も辛い思いをしないためにも、早めのTNRが大切なのです。

手術以外の処置をしてもらった猫さん

6. 器具の片付け

使用した捕獲器は、ノミや病気のリスクを避けるために、徹底的に洗浄・消毒します。次回使用する際に、感染を防ぐための重要な作業です。
捕獲機の中に引いた新聞紙の処理や、猫を落ち着かせる為の目隠しの布の洗濯、食器の処理など目に見えない作業もてんこもりです。


7. 元の場所に戻す

手術後、猫は一晩ゆっくりとごはんと休息をとり、できるだけ捕獲や手術のダメージから回復してもらった後に元の場所に戻ります。
その後は地域猫として生きていけるように、依頼者や協力者に今後のサポートをお願いしていきます


まとめ

TNR活動は、地域に暮らす猫たちが増えすぎて人に迷惑をかけないように、人と共生できるように地域猫として理解を得ていくために重要な活動です。
地域の皆さんと協力して、猫たちにより良い環境を提供するために、あなたもぜひ地域に暮らす猫に目を向けてみてください。

また、「猫と暮らしてみたいな!」となったときは、ぜひ保護猫を選択肢に加えてください。